2. 秋も熱中症にご注意を

猪熊 弘子 理事
駒沢女子短期大学教授

今年も「記録的」と言われるほどの暑い夏でした。私が子どもの頃には、夏はどんなに暑くても30度くらいまでしか上がりませんでした。夏休みには、朝6時にラジオ体操に行き、両親から「涼しい朝のうちに宿題をやってしまいなさい」と言われたことを思い出しますが、最近の夏には「涼しい朝」などありません。夏休みに外で遊んでいる子どもを見かけることがなくなり、気温と共に水温が上がれば熱中症の危険があることから、子どもたちはプールにすら入れなくなっています。

夏が終わってもすぐに熱中症の危険が消えるわけではありません。秋の運動会やその練習、芋掘り、遠足などのほか、毎日の活動の中でも熱中症の危険は続きます。熱中症の危険を判断するWBGT(暑さ指数)を正確に把握するために、「WBGT計」を各園で導入することが必要でしょう。

また、水分補給のために子どもが水筒を持参する園が多いのですが、家庭によっては水筒の内側の汚れが取れていなかったり、時間が経って水やお茶に細菌が繁殖する可能性もあり、衛生的な観点からはあまりおすすめできません。さらに最近では水筒を身体にかけている状態で転んで内臓を痛める事故も起きており、水筒を持たせるかどうかは園にとっての大きな悩みになっています。解決策として、洗浄が容易にでき、子どもたちが自分で栓をひねって水を飲めるジョグを保育室に置く園もありますが、今度は給水を子どもに任せると本当に飲んだかどうかがわからないという問題が出て来ました。

熱中症を防ぐための子どもの体調管理と水分補給は言うほど簡単なものではないと感じます。結局は試行錯誤しながら、地道に熱中症予防対策を続けていくしかないのかもしれません。