1. 幼保協に期待すること、理事として貢献したいこと

大村 牧 理事
㈱世界文化ワンダーグループ
代表取締役社長

 私は、実はまったく異なる世界から転職して参りました。日々勉強することばかりですが、他の業界と照らし合わせることで得られる視点も多いと感じております。今日は、そんな私が幼保協に期待すること、そして理事として貢献したいことについてお話させていただきたいと思います。

 私のキャリアのスタ...

 私は、実はまったく異なる世界から転職して参りました。日々勉強することばかりですが、他の業界と照らし合わせることで得られる視点も多いと感じております。今日は、そんな私が幼保協に期待すること、そして理事として貢献したいことについてお話させていただきたいと思います。

 私のキャリアのスタートは、国内系航空会社の客室乗務員でした。ご存知のように、サービス要員であると同時に保安要員としての役割も大きく、笑顔の裏では常に「リスクの種」に敏感でいるよう育てられました。ほんの少しでも「いつもと違うこと」がないだろうか?それを「まぁいいか」で見過ごしてしまった先に、大きなインシデントに繋がるリスクはないだろうか?何千ページにも及ぶマニュアル類と、キャリアを積んでも繰り返し行われる訓練で、安全に対する意識は全社員に徹底的に叩き込まれます。私たちが携わっているこの幼保業界でも、子どもたちの命に直結する部分が多くありますので、「リスクの種」を見逃さないための幼保協としての取り組みは「保育の質の向上」に大きく寄与できると考えております。

 航空会社には14年間在籍しましたが、途中で2年間、中央アジアのウズベキスタン共和国にJICAボランティア調整員として赴任しておりました。旧ソ連邦かつイスラム圏である同国では、「幼稚園」や「保育所」ではなくそのほとんどが「孤児院」と呼ばれており、就学前教育を受けられるのは20%にも満たない状況でした(※現在は70%弱まで拡大)。国外から日本という国を眺めてみると、これまでの国力を支えてきたのは「教育制度の充実」であり、その一端を担ってきたのが総合保育絵本等を活用した幼児教育であったのだと確信しています。

 私自身、子を持つひとりの親として子どもを預ける際に何よりも重視したのは、「安全な環境に安心して子どもを預けられること」でした。日本の幼児教育・保育はそもそも基本的に大変質が高いものです。そこに携わる方々が誇りを持ち、安全・安心な保育を提供できること、そして社会的評価が高まることを心から願い、志を同じくする同業事業者の皆さまとともに幼保協の一員として貢献できればと考えております。

2. 幼保協正会員企業紹介

㈱アンゲネーム
代表取締役 西川 友尉

 私ども株式会社アンゲネームは、環境衛生用品、防災用品を中心に、幅広く保育用品の開発販売をしております。創業以来30年に渡り一貫して「人や環境にやさしく」なお且つ「くらしの質の向上」をポリシーに製品開発をしております。また、販売のみならず、製品の使い方を有効に的確にサポートすることも「環境」に重要と...

 私ども株式会社アンゲネームは、環境衛生用品、防災用品を中心に、幅広く保育用品の開発販売をしております。創業以来30年に渡り一貫して「人や環境にやさしく」なお且つ「くらしの質の向上」をポリシーに製品開発をしております。また、販売のみならず、製品の使い方を有効に的確にサポートすることも「環境」に重要と考え、日々活動を行っております。弊社の主な販売ルートは、保育業界・教育業界・介護業界・ビルメン業界・通販業界などとなります。

 幼保業界の重要性は、少子化が進む中でも、益々増していくと思われます。なぜなら将来日本を担う子どもたちに対して、より高い「質」の保育が求められてくるからです。既に、子どもたちの発達や教育に対して、個々のニーズに合った高い「質」の専門の保育サービス、教育プログラムが求められております。さらに少子化対策の一環として保育施設の「質」の向上も当然図られることでしょう。テクノロジーの進化も業界に影響を与えています。このように今後ますます激しい変化が予想され、高い「質」の需要が確実に増大していくと思われます。この需要に対し、ニーズに合ったソリューションを常に提案していく事が重要となってきます。総じて言えることは、子どもたちの健康な成長にとって、幼保業界は社会の中で重要な一部の要素であり続けるということです。

 私どもアンゲネームは、「くらしの質の向上」に役立つ「人や環境にやさしい」製品を子どもたちや園の先生方にお届けしていきます。また、当協会に参加させていただいた事により、皆様方と情報を共有し力を合わせ、より高い「質」の製品やサービスを我々から園の現場へお届けできると確信しております。

 この業界に少しでも貢献できますよう精進してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

よろしければぜひ弊社HPもご覧ください。
http://www.angenehm.co.jp

基幹商品 バイミックシリーズ

基幹商品 バイミックシリーズ

3. 「見失い」事故を防ぐために

猪熊 弘子 理事
駒沢女子短期大学教授

*プロフィールはこちら

 昨年9月に静岡県内の認定こども園で起きた園バス内の園児置き去り事故を受けて、全国の幼児教育施設で利用している園バス等に安全装置の設置が義務付けられました。車体の後部に取り付けられたボタン等を押さないと警報音が鳴るといったものが主流ですが、バスの座席に子どもが取り残されていないことを確認せず、ボタン...

 昨年9月に静岡県内の認定こども園で起きた園バス内の園児置き去り事故を受けて、全国の幼児教育施設で利用している園バス等に安全装置の設置が義務付けられました。車体の後部に取り付けられたボタン等を押さないと警報音が鳴るといったものが主流ですが、バスの座席に子どもが取り残されていないことを確認せず、ボタンを押すことが目的になってしまうと、安全装置を設置しても事故は起きるかもしれません。

 園バス内の園児置き去り事故は、報道の際に「園バス」「熱中症」というキーワードで語られたことから、園バスの安全性や、熱中症の危険性に注目が集まりましたが、実は事故の原因は子どもの「見失い」にあります。実際、ほかにも「見失い」が死亡事故につながった事例が多くあります。2005年に埼玉県上尾市の公立保育所で4歳児が園舎内の本棚の下の引き戸の中に入り熱中症で亡くなった事故(=拙著『死を招いた保育』に詳しく書きました)、あるいは2018年に長野県高森町の公立保育所の園外保育中に4歳児が墓石の下敷きになって亡くなった事故、2022年に広島市内の公立保育所から園外に出た5歳児が近隣の川で溺れて亡くなった事故などです。

 見失いを防ぐためには、確実に子どもの所在を把握する必要があります。保育中も保育者は場面が変わるごとに子どもの人数を数えますし、時には名簿と引き合わせて確認していきます。デジタル機器を使った場合でも、子どもの顔を確認してから機器のボタンを押す、IC出席カードは必ず子どもがタッチするなど、機器を子どもと確実に紐付けしてアナログ的に使わなければ、ミスが起きる可能性があります。

 ちょうど秋の遠足になります。園バスがなくても、観光バスや公共交通機関を利用する園もあるでしょう。いつもと違うイレギュラーな場所に行っても、普段と同じく確実に子どもの所在把握を行うことが安全のカギになります。


次回の幼保協メルマガは11月8日発行予定です。