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2. Sleep SafetyのためのABC

西田 佳史理事
東京工業大学教授(博士)

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涼しくなってきました。ブドウが美味しい季節となり、巨峰、シャインマスカット、ピオーネなどの大粒のブドウは窒息を起こしやすいため4つ切りにするなど対策が必要です。このような食物による窒息、溺れ、そして、睡眠環境に共通する危険が窒息で、5分といった非常に短時間で危険な状態になる特徴があります。今回は、睡眠環境を取り上げたいと思います。寒い季節の到来に備えて、布団など、睡眠環境を変えていく人も多いと思います。この睡眠環境に関しては、危険の認識がどんどん変化してきています。アメリカ小児科学会では、ABCという考え方が広く普及しています。
A(Alone):子どもと、保護者は、一緒に寝ないようにする。ベッドでも、ソファーでもです。
B (Back):うつ伏せに寝かせない。
C (Crib):ベビーベッドの上で寝かせるようにする。バウンサー、車のチャイルドシートなどで寝てしまったら、すぐにベビーベッドに移動させるようにする。また、ベッドの上には、かけ布団、ぬいぐるみなど一切おかず、また、ベッド柵にも、衝撃吸収用のふわふわした布(商品としては販売されています)などを巻かないようにする。

このABCは、子ども家庭庁などが推奨しているものよりも、一段踏み込んだ、厳しいものになっています。たとえば、掛布団などは国内では明示的に禁止されていませんが、アメリカでは、一切つかわないことが推奨されています。最近、国内で行われた調査では、6か月未満の乳児を持つ保護者のうち70%近くが、毛布や掛布団をつかっているという調査結果があります(文献)。

調査結果

2022年に、アメリカ小児科学会で、新たに10度以上傾くものは、睡眠する場所として不適切であるとの見解が出されました。新たなガイドラインでは、ベッド、椅子などで10度以上傾いているものの使用を止めるように推奨されており、一部製品はリコールされています。日本でも、ロッキングチェアー、バウンサーなど数多くの傾斜型のものが売られています。これらは、座るためのもので、寝るものではない、ということです。国内の安全基準でも、最近、注意表示のルールが変わり、この点の注意喚起が始まっています。睡眠環境の調査については、私が所属するグループでも調査を進めており、レポートがまとまり次第、また、メルマガにて、配信したいと思いますが、近年、睡眠環境の考え方が大きく変化しており、最新の知見を得て、安全な睡眠環境づくりを進めましょう。

参考文献:大野美喜子ら, 乳児の睡眠環境調査「ねんね1000」プロジェクト, 第29回日本SIDS・乳幼児突然死予防学会学術集会, 2024

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